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最終更新日:2024年05月09日

【最新版】電気料金の値上げはいつまで続く?電気料金の推移や政府の対策を徹底解説

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【最新版】電気料金の値上げはいつまで続く?電気料金の推移や政府の対策を徹底解説

昨今よく話題に挙がる、電気料金の値上げ。個人・企業問わず、電気代の高騰は家計や会計に大きなダメージを与えるので、今後どのようになるのかや、どのような対処をすればよいのか悩んでいる人や、企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

今回は、低圧・高圧の電気料金の推移や、今後の電気代の見通し政府の対策はどのようになっているのかなど、電気料金の値上げについて多角的に解説します。電気代について知りたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。

長井 勇樹
監修者
小売電気アドバイザー
経歴
個人・法人向けに電力プランのコンサルティングを行う傍ら、電力小売りに関する複数のWEBメディアの記事監修を行う。各種プランに精通しており、シミュレーションシステムの構築・料金比較サイトの運営にも携わる。電力業界の専門家として各種メディアの取材歴多数。 直近取材協力⇒「電気代節約の専門家インタビュー
所属
株式会社ブレイブ
取得資格
デジタル庁公認デジタル推進委員
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2024年2月から6月の電気料金の値上げ状況

2024年の2月〜6月の値上げ状況は、電力会社によって異なるものの、大きく分けて2〜4月と5・6月で値上げの性質が異なります。

2024年2〜4月までは、主に燃料費調整額の変動によって値上げ(一部では値下げ)が行われていました。また、後述する激変緩和措置によって、低圧は1kWあたり3.5円、高圧は1kWあたり1.8円の値引きがされています。これを加味した燃料費調整額が、電気料金を左右していました。

一方、5月からは、激変緩和措置の値引き率が半分になり、低圧1.8円・高圧0.9円になります。さらに、再エネ賦課金も引き上げられる予定で、1.40円 / kWhだった金額は3.49円 / kWhに上昇。割引金額が減少して、再エネ賦課金も上昇するぶん、電気代の上昇が見込まれています。

加えて、6月からは激変緩和措置が終了する見通しなので、さらなる値上げになる予想です。再エネ賦課金に上昇に加えて、低圧1.8円・高圧0.9円の割引もなくなるので、厳しい値上げが続きそうだといえるでしょう。

2月~4月の値上げ推移

2024年2〜4月は、主に燃料費調整額による値上げ・値下げが行われています。北海道から沖縄電力まで、全国の大手電力会社の電気料金推移を、以下で確認してみてください。

数値は一般家庭の標準的な電力使用量を想定しています。2月は1月との比較(差額)、以降は前月との比較になります。

電力会社2月3月4月
北海道電力39円7円-2円
東北電力18円47円-52円
東京電力24円72円16円
中部電力49円133円93円
北陸電力5円-12円-50円
関西電力0円0円65円
中国電力15円-5円-53円
四国電力13円-5円-62円
九州電力5円0円20円
沖縄電力44円21円-46円

上表のとおり、値上げを行っている電力会社もあれば、反対に下がっているところがあるのもわかります。例えば、東京電力では24円・72円・16円と、毎月数十円電気代が値上げされています。一方、沖縄電力では44円・21円・-46円となっており、4月は値下げが行われています。

燃料費調整額は毎月増減するものですが、長期的に見ると2050年までは天然ガス・石油が値上がりする傾向であると予想されているので、電気代も同じく値上がりが見込まれます。

2月~4月最大で4%の値上げ

2024年2〜4月では、最大で4%ほどの値上げとなっています。大手電力会社のうち、最も値上げされたのは中部電力で、2月49円・3月133円・4月93円(いずれも前月比)の上昇となっています。

最も上昇した3月の数値を一般的な家庭の電気代に直してみると、約7,384円となり、3カ月間の値上がりぶんが275円であることから、約4%の値上げとなります。

電力会社によって差はあるものの、多くは4%以下の値上げが行われています。一般的な家庭であれば数百円程度なので家計にそれほど影響はありませんが、電気をたくさん使う工場などの施設では、コスト増が懸念されます。

一方で値下げを行う電力会社も

一方で、値下げを行う電力会社も存在します。例えば2024年分の電気料金では(一般家庭 / 低圧の1か月分の電気代を参照)、北海道電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・沖縄電力の6社が値下げをしています。

値下げ幅は数円から60円程度まで幅があるものの、理由はいずれも燃料価格の影響で、調達価格が低コストで済んだことから値下げされています。そのほかの4社は、最大で90円程度の値上げとなっていました。

5月・6月も値上げが続く予想

5月・6月の電気料金は、値上げが続く傾向です。理由は、政府による「激変緩和措置」が縮小・終了になる見込みだからです。

現在、低圧は1kWあたり3.5円、高圧は1kWあたり1.8円の値引きとなっていますが、5月は低圧1.8円・高圧0.9円と半額になります。例えば、月の電力使用量が300kWh~400kWhの家庭では、月540〜720円の値上がりです。

また6月には「激変緩和措置」自体が終了する見通しで、電気代の補助を受けることができません。そのため、さらに月540〜720円の値上げが見込まれます。

さらに、5月からは再エネ賦課金も値上がりすることから、月627〜836円の負担増が見込まれています。

上記を合算すると、300kWh~400kWhを利用する家庭では、4月に比べて5月は1,167〜1,556円、6月は1,707〜2,276円ほどの値上げになります。

将来、電気料金の値上げ状況はどうなっていくのか

現在の電気料金高騰の大きな原因となっている天然ガスは、2025年頃まで値上がり傾向が続くとされています。

天然ガス価格の推移 引用:新電力ネット

天然ガスの値上がりはウクライナ情勢以降続いていますが、ロシア産以外の天然ガスの需要の高まりに加えて、脱炭素の流れも強くなってきていることから、天然ガス田の開発や投資が進んでいないことも拍車をかけています。

さらに、EIA(米国エネルギー省エネルギー情報局)の発表によれば、2050年までは、天然ガスに加えて石炭も値上がりし続ける傾向であるとされています。

電気料金の値上げについて解決策はあるのか

例:契約アンペア数を見直す

家庭でできる電気料金の値上げ対策としては、まず契約アンペア数の見直しが挙げられます。アンペア数によって基本料金が決まる契約の場合は、アンペア数を下げれば毎月決まった金額を節約可能です。

例えば東京電力のスタンダードSの場合、基本料金は10Aにつき311.75円。60Aで契約している人は30Aに下げると、半額になります。

ただし、アンペア数の落とし過ぎには注意しましょう。同時に家電を使用したときにアンペア数が足りないと、ブレーカーが落ちてしまいます。また、アンペア数を変更すると1年間変えられないケースもあるため、変える際は必ず確認してください。

例:支払い方法を変える

支払い方法を変更すると、わずかではありますが電気料金が安くなるケースがあります。電力会社にもよりますが、なかには口座振替にすると年間数百円の節約になる場合も。

またクレジットカード払いをすると、電気料金に応じたポイントが還元される電力会社もあります。ふだんのポイントにプラスして還元してもらえるので、口座振替よりもお得になるケースがあるでしょう。

現在コンビニ払いなどをしている人は、口座振替・クレジットカード払いを検討してみると、電気代を抑えられる可能性があります。

例:省エネ家電に買い替える

長い目で見た場合、現在の家電を省エネ家電に買い替えるとトータルの電気代を節約できます。

例えば冷蔵庫の場合、2019年と2009年の製品を比べてみると、年間の電力消費量は40〜47%もの開きがあります。またエアコンは約17%、テレビは約42%となっており、使用電力の多い家電だけでも、かなりの節約になるでしょう。

とはいえ、家電の買い替えには品代だけでなく、古い家電のリサイクル料金などもかかります。自治体によっては省エネ家電に買い替えるための補助金を助成しているところもあるので、確認してみるとよいでしょう。

政府による対策「激変緩和措置」とは

「激変緩和措置」とは、定められた金額を燃料費調整額から割引する制度です。電気代の急激な高騰に対応するために、2023年2月から現在(執筆時点:2024年5月時点)まで、継続して行われています。

燃料費調整額とは、発電するためのコスト(燃料費)に応じて変わる金額で、調整額✕電力使用量(kWh)で計算されます。

燃料費調整額はプラスではなくマイナスになることもあり、マイナスになった月の電気代は安くなります、しかし、昨今の燃料費の高騰で燃料費調整額が高くなってしまったので、価格を調整するために、電気料金が割引されているのが現状です。

激変緩和措置の適用期間が2024年5月まで延長に

激変緩和措置の適用期間は、当初2023年2月〜10月まで実施予定の施策でした。ひと月あたり7円 / kWhの割引(低圧の場合。高圧は3.5円 / kWh)が行われていましたが、その後2024年1月まで、延長されることになり、現在は同年5月までの延長が決定しています。

2023年11月から2024年4月までの値引き金額は、低圧3.5円 / kWh、高圧1.8円 / kWhとなっています。終了予定の2024年5月の値引きは、半額の低圧1.8円 / kWh、高圧0.9円 / kWhです。

上記のことから、2024年5月以降は電気代が上昇する見込みです。5月は低圧1.8円 / kWh、高圧0.9円 / kWhなので、例えば電力使用量が100kWhなら、低圧180円・高圧90円の値引きです。同条件で4月を計算してみると、低圧360円・高圧180円なので、4月よりも50%の割引減。燃料費調整額にもよりますが、このぶん電気代が高くなるのは避けられません。

さらに6月からは激変緩和措置が終了予定のため、割引を受けることはできません。

全国的な電気料金の推移

ここからは、全国的な電気料金の推移をみていきましょう。電気には低圧と高圧があり、低圧は従量電灯・低圧電力高圧は高圧・特別高圧と、それぞれ2種類にわかれています。

従量電灯とは、電力使用量に応じて毎月の電気代が決定するプランのこと。一般家庭で多いプランで、家庭用の家電や電力をそれほどしようしない機器で使われます。

低圧電力は、従量電灯よりも電力消費量の多い業務機器向けの電力プランを指します。例えばエレベーターや業務用のエアコンなどがこれにあたり、コンセントの形状も一般的な家電のものとは異なります。

高圧は、学校・病院・マンションなどの中小規模の施設で多く利用されている形式で、電柱のトランスからではなく、高圧電力をそのまま受電して、保有する受電設備で変圧して利用します。

特別高圧とは、高圧よりもさらに高い電圧・受電電圧の電力のこと。工場やオフィスビル、空港など大規模な施設で使われています。

以下の項目では、各タイプの全国的な単価推移や、電力会社ごとの電気料金推移などを詳しく解説します。

低圧(従量電灯)の場合の電気料金推移

まずは、一般家庭で使用する低圧(従量電灯)の場合の電気料金の推移をみていきましょう。簡単に概論を解説すると、激変緩和措置の手前で電気料金のピークを迎えており、一旦料金は下がるものの、割引率が減少するタイミングで再び増加に転じています。

以下で、全国平均の推移・各電力会社の電気料金の推移・直近の値上がり状況について解説しています。

全国平均の電気料金の推移

全国平均の電気料金の推移 引用:新電力ネット

低圧(従量電灯)の電気料金の平均単価推移は、上記のグラフを参照してみてください。

グラフを参考にすると、2022年末〜23年初頭にかけて、電気料金がピークを迎えていることがわかります。以降は下がりますが、これは激変緩和措置の影響でしょう。その後、一旦横ばいになっていますが、2023年の夏季以降には再び若干上昇しています。

上昇の理由は、2023年11月から激変緩和措置の割引額が減少していて、単価に影響を与えていると考えられます。

各電力会社の電気料金の推移

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次に、各電力会社の電気料金の推移を見てみましょう。ちなみに、上記の数値は平均をとっているため、実際の金額とは少々異なります。

単価が増減する傾向はほぼ同じなものの、単価自体は電力会社によって、かなりの開きがあることがわかります。北海道電力・東京電力などは高めで、一方北陸・九州・関西電力など、西日本は比較的安めな傾向。関電などは発電コストの安い原子力発電が使えるため、電気代が抑えられていると考えられます。

直近の低圧(従量電灯)の値上がり状況

直近の値上がり状況としては、全国平均だと2024年1月の単価は24.67 円 / kWhとなっており、前月に比べて-0.36円、約1.44%の値下げとなっています。

電力会社ごとの値上がり状況は、電力会社によって異なります。例えば、北海道電力の2024年2〜4月の電気料金単価差は、2月は1月に比べて39円の値上げ。2月は前月比7円の値上げ、3月は前月比-2円となっています。お住まいの地域を参照したい場合は、冒頭で解説した「2月~4月の値上げ推移」を参照してみてください。

「低圧(低圧電力)の場合の電気料金推移

次に、業務用機器などで多く使われる低圧(低圧電力)の場合の電気料金の推移をみていきましょう。おおまかな結論を先に解説すると、激変緩和措置の前後や、割引率が減少する前後で料金差が開く状況が見られ、さらに低圧電力ならではの理由で増減している場面も見られます。

以下で、全国平均の推移・各電力会社の電気料金の推移・直近の値上がり状況について解説しています。

全国平均の電気料金の推移

全国平均の電気料金の推移 引用:新電力ネット

低圧(低圧電力)の全国平均の電気料金推移は、上記のようになっています。従量電灯と同じく、2023年2月に値下がりし、2023年10月に大きく値上がりしているのは同じです。激変緩和措置の割引率が半分に減少したことに加えて、低圧電力は毎年10月に値上がりする傾向であることも、増加に拍車をかけているといえるでしょう。

各電力会社の電気料金の推移

次に、各電力会社の電気料金推移を見てみましょう。おおまかな推移は、上記のグラフを参照してみてください。

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大手電力会社の推移はほぼ同じといえますが、西日本の多くの電力会社は大きく値下がりしていることがわかります。

低圧電力の場合は月による変動が激しく、イメージをつかみにくいかと思いますが、ほとんどの電力会社においては、2023年7月からは値下がりの傾向。天然ガスなどの燃料価格の値下がりが主な原因として挙げられます。

直近の低圧(低圧電力)の値上がり状況

低圧電力の直近の値上がり状況は、大手電力会社によって大きく異なります。例えば、東京電力では2024年4月1日より、基本料金単価は値上げし、電力料金単価は値下げを実施しています。

この場合、電気の使用量が多いほど3月以前よりも安くなる計算ですが、激変緩和措置が終了した場合、この限りではありません。再エネ賦課金も上昇するので、結果として電気代は高くなるといえるでしょう。

高圧の場合の電気料金推移

次は、高圧の電気料金推移を見ていきましょう。高圧の電気料金推移の特徴は、2023年2月に値下がりをしていて、2023年7月ごろからは値下がり傾向。同年10月には再び大きく値上がりをしています。おおまかな変動は、低圧と同様だといえそうです。

以下で、全国平均の推移・各電力会社の電気料金の推移・直近の値上がり状況について解説しています。

全国平均の電気料金の推移

全国平均の電気料金の推移 引用:新電力ネット

高圧の電気料金の推移は、上記のグラフを参照してみてください。

低圧と同じような推移をしていて、2023年1月までは値上がりを続けているものの、以降は微減しています。低圧ほど値下げ率が少ないのは、激変緩和措置による補助が、低圧の半分だったことが理由として挙げられます。

その後微増はあるものの減少傾向を続けていて、2023年の10月には再度上昇。こちらも激変緩和措置の補助が減少したことによるものですが、もともと補助率が少ないので、低圧に比べて控えめな増加となっています。

各電力会社の電気料金の推移

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次に、各電力会社の電気料金推移を見てみましょう。低圧と同じく、大まかな推移としては各社とも足並みが揃っています。

ただし、電力会社によっては2023年4月以降に値上がりしているところもあります。これは、高圧の価格改定を行っていることが理由として挙げられます。例えば、東京電力では、2023年4月分以降から、改定価格が反映されています。

とはいえ、改定価格は燃料費調整額などで大きく増減するため、必ずしも改定前より高くなるわけではありません。状況によっては、安くなる場合もあります。

直近の高圧の値上がり状況

低圧と同様に、直近の高圧の値上がり状況も電力会社によって変わります。例えば東京電力では、2024年4月に料金の見直しが行われ、基本料金が値上げされます。一方で、電力量料金は値下げされます。

低圧電力と同じく、電気の使用量が多い施設では3月以前と比較して電気料金や安区鳴る計算ですが、激変緩和措置が終了した場合は、高めになると考えれます。また再エネ賦課金も上昇するので、結果として電気代の高騰が予想されます。

特別高圧の場合の電気料金推移

最後に、特別高圧の電気料金推移を見ていきましょう。特別高圧の電気料金推移の特徴は、2023年2月には大きな変化がないこと。加えて、同年10月にも大きな変化がありません。2022年〜2023年上半期にかけて、ゆるやかに価格は上昇し、以降微減しています。

以下で、全国平均の推移・各電力会社の電気料金の推移・直近の値上がり状況について解説しています。

全国平均の電気料金の推移

全国平均の電気料金の推移 引用:新電力ネット

特別高圧の全国平均の電気料金推移は、上記のグラフを参照してみてください。上述したように、低圧・高圧で見られた2023年2月・10月の料金変化がないことがわかります。これは、特別高圧は激変緩和措置の対象外だからです。

2023年7月からは緩やかな値下がり傾向ですが、減少の理由は天然ガスをはじめとする燃料価格の値下がりが主な原因だといえるでしょう。

各電力会社の電気料金の推移

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次に、特別高圧の各電力会社の電気料金推移を確認してみましょう。おおまかな推移は、上記のグラフを参照してみてください。

高圧と同じく、2023年4月以降に特別高圧の価格改定が行われた電力会社は、全体的に値上がり傾向です。例えば、東北電力では、2023年の4月1日より料金が改定されていて、3月以前と異なった算定諸元で燃料費調整単価が算定されています。

直近の高圧の値上がり状況

特別高圧の直近の値上がり状況は、電力会社によって異なるものの、2024年4月1日から改定をしている会社も多くあります。例えば東京電力では、基本料金は値上げ・電力量料金は値下げされています。

高圧と同じく、電力使用量が多い工場などの施設では値下がりが見込まれますが、燃料費調整額や再エネ賦課金の増加により、値上がり傾向は続くと予想できそうです。

電気料金の変動が激しい要因は3つ

1.燃料費調整額の値上げ

燃調費調整額の値上げは、電気代上昇の大きな原因となっています。火力発電で使用する天然ガス・石炭・石油などは、2022年には価格のピークを迎えています。下記のグラフを参照してみてください。

燃料費調整額 引用:新電力ネット

上記は日本の大手電力会社の燃料費調整額です。低圧・高圧ともに2022〜2023年初頭にピークを迎え、以降は緩やかに減少していますが、未だ以前の水準には戻りきれていないことがわかります。

これらの資源が高騰した背景には、まず化石燃料への投資をやめた企業が増えたことが考えられます。2015年のパリ協定では、カーボンニュートラルへのシフトが推進され、脱炭素化の動きが進みました。

またロシア・ウクライナ問題により、それまで世界屈指の天然ガス・石炭・石油輸出量をほこっていた露が燃料輸出を制限しはじめたため、天然ガスなどの資源供給量が減り、世界的なエネルギー不足に陥りました。

資源の供給量がへるなか、アフター・コロナの景気回復に向けた動きが活発になり、世界ではエネルギーの需要が供給を上回ったため、エネルギー価格が高騰したというのも理由です。また、急激な円安ドル高により、海外からのエネルギー買い取り金額も上昇したため、燃料費調整額が上がっているのです。

2.再エネ賦課金の値上げ

電気料金が上昇した背景としては、再エネ賦課金の値上げも挙げられます。再エネ賦課金とは、正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といい、再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって電力会社が買い取りした費用を、電気の使用量に応じて消費者が負担するものです。

カーボンニュートラルの実現に向けて、日本でも再生可能エネルギーの導入量が増加しています。またFIT制度で再生可能エネルギー購入量も増加しているため、単価が値上がりしています。単価については、下記の表を参照してみてください。

再エネ賦課金

表を参照してみると、2012年度は0.22円 / kWhだった単価が、2022年度のピーク時には3.45円 / kWhまで上昇していることがわかります。2023年度になり一旦1.40円 / kWhまで減少したものの、2024年度には一転、3.49円 / kWhまで上がり、ここ10年近くで最高値の水準を記録しています。

例えば2023年度と2024年度を比べてみると、再エネ賦課金の差額は1kWhあたり2.9円の値上がりです。月に400kWh使用する家庭では、年間約10,000円の電気代上昇となります。

値上げは2024年5月からのため、激変緩和措置の終了・減少とあわせて、電気代が高騰する大きな原因になっています。

3.発電コストの値上げ

一次エネルギー国内供給の推移 引用:資源エネルギー庁

3つめの原因は、電力需給がひっ迫したことによる発電コストの値上げです。電気の需要量が供給量ギリギリになると、電力の予備が少なくなります。これにより、電力会社の電気の仕入れ値が上昇します。直ちに電気代に反映されるものではありませんが、電力会社の経営が悪化すれば、電気代に転化されます。

以下の表は、日本の電力供給量の推移です。エネルギー別に分類されていますが、ざっと全体量を確認してみてください。

上表によれば、2010年以降に電気の供給量が減少していることがわかります。供給量が減った理由としては、まず東日本大震災による原子力発電所の操業停止が挙げられます。

2011年に発生した東日本大震災のあおりをうけて、原子力発電所は相次いで運転を停止しました。この動きにより、電源構成の約4分の1を占めていた原子力発電は、2020年には4%に低下し、電力のひっ迫を引き起こしています。

また、2000年から電力自由化がはじまり、新電力会社が電気の小売事業に参入したことで、電気料金の価格競争が起こりました。大手電力会社は収益改善のために、メンテナンスが必要な火力発電所や、発電効率が芳しくない発電所を廃止したことも、電力の供給量が低下する原因となっています。

上記の理由から、電気の供給量が減少し、一方で需要は高まったことから仕入れ値が上昇し、電気代に反映されたことから、電気料金が高騰しています。

電気料金を節約する方法【家電別】

1.冷蔵庫の節電

冷蔵庫は常に稼働している家電であり、資源エネルギー庁の発表によれば、季節によって若干違いはあるものの、家庭の使用量のおおよそ12〜15%を占めています。

冷蔵庫を節約するには、以下の3つの方法がおすすめです。

  • 開閉回数を減らす(約12%の節電効果)
  • 開けている時間を減らす(約5%の節電効果)
  • 冷蔵庫を壁から少し離して設置する(約5%の節電効果)

上記のほかには、庫内にはある程度のスペースを設ける・直射日光の当たらない場所に設置することでも節電になります。また、温かいものは常温程度まで冷ましてから入れると、余計な電力をくいません。

2.エアコンの節電

エアコンは、家電のなかでも多くの電力を消費します。資源エネルギー庁の発表によると、夏場では38.3%・冬場では17%と、かなりの割合を占めています。

エアコンは、温度調整を行うタイミングが最も電力を消費します。そのため、できるだけ室温より上げたり下げたりしないことが重要です。例えば夏場は、冷房を1℃上げるだけで約13%の節電に。冬場では1℃下げると約10%の節電になるといわれています。

エアコンの適温は、一般的に夏28℃・冬20℃です。温度に差がある人は、適温に近づけてみると節電になる可能性があります。また、フィルターが汚れていると温度調節がしにくくなるため、消費電力が多くなる傾向です。こまめに掃除をすることでも、節電になるでしょう。

3.照明機器の節電

照明器具も、意外と電力を消費する家電です。夏場では14.9%・冬場では9.2%の割合を占めているとされています。

蛍光灯や白熱電球を使っている人は、LEDに変えるだけでかなりの節電になります。場合によっては80%ほど節電できる場合もあるので、ぜひ検討してみてください。

また単純に、こまめに照明を落とすだけでも約5%の節約になるといわれています。電気をつけっぱなしにせず、オフにするのを心がけると、長い目でみて大きな節電になるでしょう。

4.洗濯機

洗濯機を毎日使う家庭では、電気代がかさみがちです。例えばパナソニックのドラム式乾燥機「NA-LX129C」の場合、1回あたりの電気代は約28円と発表されています。1カ月毎日使用したとすると、約1,000円ほどかかる計算です。

洗濯機の効果的な節電方法は、すすぎ回数を2回から1回に減らすのがおすすめ。約17.5%も節電できるといわれています。また乾燥機つきの場合は、フィルターをこまめに掃除することで、電力使用量を節約可能です。

5.その他の節電術

そのほかにも、家にある家電にはさまざまな節約方法があります。例えば、テレビは主電源をオフにしたり、画面を少し暗くするだけでも節電効果があります。

またお風呂であれば、追い焚きする回数を減らすなど、お湯を使う量を少なくすることで節電が可能。加えて、それほど使わない家電は電源を抜いておくことで、待機電力をなくせます。

電力以外にも、節電できる方法はあります。例えば、遮光・遮熱カーテンにすることで家の中の熱を逃げにくくさせ、外部の熱を防げば、冷暖房の際の電力使用量は減少します。いろいろな節電術があるので、無理のない範囲で試してみてください。

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まとめ

今回は、近年上昇し続ける電気代について、これまでの推移やこれからの展望、なぜ電気代が高騰するのかの理由や対策方法などを解説しました。

2024年5月からは、これまでの激変緩和措置が減少・終了し、さらに再エネ賦課金も高くなるため、さらなる電気代の高騰が見込まれます。高騰する電気代を抑えるためには、節電をしたり、電力会社や契約プランの見直し・再検討が必要になるでしょう。

電気代についての悩みがある人や、値上がり続ける電気代を安くしたい人は、ぜひ本コラムを参考にしてみてください。

伊藤 雄次
執筆者
クラシェルジュ編集部

経歴
元ゲーム好き・節約好きのブロガー、株式会社ブレイブのWEBエンジニア。ゲームを快適に遊ぶためネット環境構築に詳しくなる。専門知見を活かして始めた通信サービスのブログを月間1,200万が訪れるサイトに成長させる。現在は通信費削減・見直しコンサルティングをおこなう傍ら、記事を執筆しながら多くの人の悩み事を解決し続けている。参考:クラシェルジュ開発ストーリー
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