「シン・エナジーに切り替えると本当に安くなるの?」
「東京電力からの切り替えを迷っているんだけど、リスクは無いの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
シン・エナジーは基本料金・電力量料金が安く設定されているものの、燃料費調整額の仕組みが東京電力とは大きく異なります。どちらがお得になるかは、世帯の電気使用状況や市場価格の変動によって変わってきます。
この記事では、2024年11月の最新料金プランをもとに、一人暮らしからファミリー世帯まで、具体的な電気料金の差額を計算。また、両社のメリット・デメリットを詳しく比較し、あなたに合った電力会社の選び方をご紹介します。
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この記事の目次
シン・エナジー(きほんプラン)と東京電力のプランの違い
初めに、シン・エナジーと東京電力の料金プランを比較した内容を、以下の表にまとめました。
比較項目 | シン・エナジー きほんプラン | シン・エナジー 夜生活フィットプラン | シン・エナジー 昼生活フィットプラン | 東京電力 従量電灯B |
基本料金 (40A) | 1,061.41円 | 1,061.41円 | 1,061.41円 | 1,247.00円 |
電力量料金 (1-120kWh) | 19.67円 | 時間帯別料金 | 時間帯別料金 | 29.80円 |
電力量料金 (121-300kWh) | 24.78円 | 時間帯別料金 | 時間帯別料金 | 36.40円 |
電力量料金 (301kWh以上) | 27.71円 | 時間帯別料金 | 時間帯別料金 | 40.49円 |
燃料費調整単価 (2024年11月) | 3.3円/kWh (電源調達調整費) | 3.3円/kWh (電源調達調整費) | 3.3円/kWh (電源調達調整費) | -6.42円/kWh |
政府補助金 | -2.5円/kWh | -2.5円/kWh | -2.5円/kWh | -2.5円/kWh |
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
解約金 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
契約エリア | 東京電力管内 | 東京電力管内 | 東京電力管内 | 東京電力管内 |
セット割 | なし | なし | なし | 都市ガス割引あり |
ポイント特典 | JALマイル付与 | JALマイル付与 | JALマイル付与 | Tポイント付与 |
以下では、シン・エナジーの「きほんプラン」と東京電力の「従量電灯B」を比較していきます。この2つのプランを比較対象とする理由は、シン・エナジーの生活フィットプランは時間帯別料金制を採用しており、従量電灯Bとは料金体系が大きく異なるためです。
シン・エナジーは基本料金・電力量料金が安い
シン・エナジーの「きほんプラン」は、基本料金・電力量料金ともに東京電力の従量電灯Bより大幅に安価に設定されています。
基本料金を比較すると、40Aの場合、シン・エナジーが1,061.41円なのに対し、東京電力は1,247.00円と約186円の差があります。
電力量料金は全ての区分で10円以上の大きな差があります。
使用量区分 | シン・エナジー | 東京電力 | 差額 |
1-120kWh | 19.67円 | 29.80円 | 10.13円お得 |
121-300kWh | 24.78円 | 36.40円 | 11.62円お得 |
301kWh以上 | 27.71円 | 40.49円 | 12.78円お得 |
東京電力は燃料費調整額が安い
一方で、東京電力は燃料費調整額の面で大きな優位性があります。
2024年11月時点で、東京電力は1kWhあたり6.42円のマイナス調整となっているのに対し、シン・エナジーの電源調達調整費(東京電力の燃料費調整額にあたる費用)は3.3円のプラス調整となっています。この差は約10円/kWhにもなります。
この差が生まれる理由として、東京電力の燃料費調整額には上限が設定されており、市場価格の高騰リスクが抑制される仕組みになっています。一方、シン・エナジーの電源調達調整費は上限がなく、市場価格の変動をより直接的に受けるため、このような大きな差が生まれています。
シン・エナジー(きほんプラン)と東京電力の損益分岐点
上述のように、シン・エナジーは東京電力より基本料金・電力量料金は安いですが、燃料費調整額は高いです。つまり、シン・エナジーと東京電力の燃料費調整額の差額によって、どちらの電気料金が安くなるのかが変わってきます。
まず、燃料費調整額を除いた基本の電気料金は以下の通りです。
使用量 [kWh/月] | シン・エナジー [円] | 東京電力 [円] | 基本差額 [円] |
100 | 2,863 | 4,227 | シン・エナジーが1,364円お得 |
200 | 5,113 | 7,119 | シン・エナジーが2,006円お得 |
300 | 7,207 | 10,299 | シン・エナジーが3,092円お得 |
400 | 9,813 | 14,348 | シン・エナジーが4,535円お得 |
上記の料金を元に、シン・エナジーより東京電力の燃料費調整額が10円安い場合、11円安い場合、12円安い場合の最終的な電気料金を試算していきます。
燃料費調整額の差額が10円の場合
計算しやすくするため、シン・エナジーの燃料費調整額が0円、東京電力が-10円であったとして試算します。
使用量 [kWh/月] | シン・エナジー [円] | 東京電力 [円] | 差額 [円] |
100 | 2,863 | 3,227 | シン・エナジーが364円お得 |
200 | 5,113 | 5,119 | シン・エナジーが6円お得 |
300 | 7,207 | 7,299 | シン・エナジーが92円お得 |
400 | 9,813 | 10,348 | シン・エナジーが535円お得 |
燃料費調整額の差額が11円の場合
計算しやすくするため、シン・エナジーの燃料費調整額が0円、東京電力が-11円であったとして試算します。
使用量 [kWh/月] | シン・エナジー [円] | 東京電力 [円] | 差額 [円] |
100 | 2,863 | 3,127 | シン・エナジーが264円お得 |
200 | 5,113 | 4,919 | 東京電力が194円お得 |
300 | 7,207 | 6,999 | 東京電力が208円お得 |
400 | 9,813 | 9,948 | シン・エナジーが135円お得 |
燃料費調整額の差額が12円の場合
計算しやすくするため、シン・エナジーの燃料費調整額が0円、東京電力が-12円であったとして試算します。
使用量 [kWh/月] | シン・エナジー [円] | 東京電力 [円] | 差額 [円] |
100 | 2,863 | 3,027 | シン・エナジーが164円お得 |
200 | 5,113 | 4,719 | 東京電力が394円お得 |
300 | 7,207 | 6,699 | 東京電力が508円お得 |
400 | 9,813 | 9,548 | 東京電力が265円お得 |
シミュレーション結果から分かったこと
シミュレーションの結果、以下のことが分かりました。
- 燃料費調整額の差が10円/kWhの場合、すべての使用量帯でシン・エナジーが安くなります
- 燃料費調整額の差が11円/kWhの場合、100kWhと400kWhではシン・エナジーが安く、200-300kWhでは東京電力が安くなります
- 燃料費調整額の差が12円/kWhの場合、100kWhのみシン・エナジーが安く、それ以外は東京電力が安くなります
- 使用量と料金の関係は直線的ではなく、使用量帯によって優位性が変動することがあります
つまり、シン・エナジーの基本料金・電力量料金の安さは、燃料費調整額の差が11円/kWh以下の場合には、多くの使用量帯でメリットを発揮できるということが分かりました。12円以上の差がある場合は、少量使用を除き、東京電力の方がお得になります。
シン・エナジー(きほんプラン)と東京電力の電気料金を比較
2024年11月時点の料金プランで、実際の電気料金を比較してみましょう。計算には基本料金、電力量料金に加え、シン・エナジーの電源調達調整費(3.3円/kWh)、東京電力の燃料費調整額(-6.42円/kWh)、両社共通の政府補助金(-2.5円/kWh)をすべて含んで計算しています。
一人暮らしの場合
一人暮らしの電気使用量は、在宅時間や生活スタイルによって大きく変わります。そこで、外出が多い場合と、在宅時間が標準的な場合の2パターンで比較しました。
利用パターン | シン・エナジー | 東京電力 | 差額 |
少なめ (30A・80kWh) | 2,386円 | 2,509円 | シン・エナジーが 123円お得 |
ふつう (30A・135kWh) | 3,455円 | 3,748円 | シン・エナジーが 293円お得 |
一人暮らしの場合、月の使用量が少なめでも標準的でもシン・エナジーの方が安くなっています。特に使用量が増えるほど差額も大きくなり、標準的な使用量(135kWh)では月約300円の差が出ています。
二人暮らしの場合
二人暮らしは、共働きか専業主婦(夫)かで使用量に差が出ます。ここでは、共働きの少なめの使用量と、標準的な使用量の2パターンで比較しました。
利用パターン | シン・エナジー | 東京電力 | 差額 |
少なめ (30A・180kWh) | 4,605円 | 4,933円 | シン・エナジーが 328円お得 |
ふつう (40A・250kWh) | 6,527円 | 7,023円 | シン・エナジーが 496円お得 |
二人暮らしの場合、基本料金の差と使用量の増加により、シン・エナジーのメリットがより大きくなります。標準的な使用量(250kWh)では月約500円の差となり、年間では約6,000円の節約になります。
ファミリー世帯の場合
ファミリー世帯は、家族構成や在宅時間によって使用量の幅が大きくなります。そこで、3つのパターンで比較しました。
利用パターン | シン・エナジー | 東京電力 | 差額 |
少なめ (40A・280kWh) | 7,305円 | 7,922円 | シン・エナジーが 617円お得 |
ふつう (40A・400kWh) | 10,424円 | 11,348円 | シン・エナジーが 924円お得 |
多め (50A・550kWh) | 14,314円 | 15,502円 | シン・エナジーが 1,188円お得 |
ファミリー世帯の場合、使用量が多いため最も大きな差額が出ます。特に電気をよく使う世帯(550kWh)では月約1,200円の差となり、年間では約14,000円もの節約につながります。エアコンの使用が多い夏場は、さらに差額が大きくなる可能性があります。
シン・エナジーと東京電力のメリット・デメリットを比較
料金以外の面でも、両社にはそれぞれ特徴があります。メリット・デメリットを詳しく比較してみましょう。
シン・エナジーは料金プランを選べる
シン・エナジーでは、ライフスタイルに合わせて3つの料金プランから選択できます。
プラン名 | 特徴 | おすすめの世帯 |
きほんプラン | 24時間通して同一料金 | 一般的な利用パターンの世帯 |
夜生活フィットプラン | 夜間の電気料金が割安 | 夜間の電気使用が多い世帯 |
昼生活フィットプラン | 昼間の電気料金が割安 | 日中の電気使用が多い世帯 |
契約後にマイページから簡単に変更可能
シン・エナジーでは、契約後でも無料でプランを変更できます。マイページから数クリックで手続きが完了し、翌月から新しい料金プランが適用されます。
例えば、在宅勤務が増えて日中の電気使用量が増えた場合は「昼生活フィットプラン」に、夜型の生活になった場合は「夜生活フィットプラン」に変更するなど、生活スタイルの変化に柔軟に対応できるのが特徴です。
東京電力はオール電化やガスとのセットも用意している
東京電力では、以下のようなセットメニューを提供しています
- 電気・ガスのセット割引
- オール電化向けの専用プラン
- IHクッキングヒーター導入時の特典
- エコキュート設置時の割引
特にガスとのセット契約では、電気料金の3%が割引されるため、大量に電気を使用する世帯では大きな節約になります。また、オール電化住宅では夜間の電気料金が大幅に安くなる特別メニューを選択できます。
シン・エナジーは燃料費調整額に上限がない
シン・エナジーでは「電源調達調整費」という形で、電力市場価格の変動をそのまま料金に反映します。これは以下のような特徴があります
- 市場価格が下がれば、電気料金も大きく下がる可能性がある
- 反面、市場価格が高騰すると電気料金も上がる
- 上限設定がないため、価格変動の予測が難しい
特に冬季や夏季の電力需要が高まる時期は、市場価格の高騰により電気料金が上昇するリスクがあります。
東京電力は燃料費調整額に上限がある
東京電力の燃料費調整額には上限が設定されており、以下のようなメリットがあります
- 燃料価格が高騰しても、電気料金の上昇は一定範囲に抑えられる
- 毎月の電気料金の予測が立てやすい
- 家計の支出計画が立てやすい
特に原油価格の高騰時には、この上限設定が家計の保護として機能します。2022年のエネルギー価格高騰時には、新電力との料金差が広がった事例もありました。
まとめ
シン・エナジーと東京電力の料金を比較した結果、2024年11月時点ではシン・エナジーが有利な状況となっています。これは基本料金・電力量料金の安さが、燃料費調整額の差(9.72円)を上回っているためです。使用量が多いほど差額も大きくなり、ファミリー世帯では月1,000円以上の節約になります。
ただし、シン・エナジーは電源調達調整費に上限がないため、市場価格の変動により料金が上がるリスクがあります。一方の東京電力は、オール電化やガスとのセット割引など、多彩なプランを用意。選択にあたっては、単純な料金の比較だけでなく、世帯の電気使用状況や今後の生活スタイルの変化も考慮することをおすすめします。
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